
食卓に彩りを。北欧食器「アラビア」から始める“ヒュッゲ”な暮らし
北欧食器を代表するアラビア。フィンランドの大自然を思わせる美しい色合いと、1年の大半を雪で閉ざされる暮らしの中で生まれた素朴で温かな味わいは日本でも大人気。デザイン性に優れながら日々の暮らしに寄り添う実用的な製品は、私にとって生活に欠かせないもの。アラビアのある暮らしを紹介します。
目次
北欧食器「アラビア」とは?

北欧食器「アラビア(ALABIA)」とは、フィンランドのヘルシンキ郊外で1873年に創業された、北欧を代表する陶器ブランドです。雪の白をベースした色調と、北欧の豊かな自然が感じられるおおらかなモチーフが特徴で、その鮮やかなデザインと品質の高さから、世界中で愛されています。
お皿を変えるだけでいつもの料理がパッと華やぐアラビアの食器たち。おもてなし料理はもちろん、私は普段の食卓でも使っています。
お皿や器を料理に合わせて選んだり、気分で選ぶひとさじほどのこだわりは、背伸びをしない"丁寧っぽい”暮らし。それを叶えてくれるアラビアには、どんな歴史やこだわりがあるのでしょう。
アラビアの歴史
「アラビア」の歴史はスウェーデンの陶磁器ブランド・ロールストランドの子会社からはじまります。当時、フィンレンドの首都・ヘルシンキのアラビア地区に工場があったことから、「ARABIA」と名付けられたそう。
アラビアといえば植物など自然のモチーフを大胆な色づかいで描かれた多彩なデザインが特徴ですが、当初は親会社の意向から、シンプルな白陶器を中心に製造。そこから脱却すべく、自社開発のデザインに力を入れたことが、現在のアラビアのデザインにつながっていきます。
やがて、フィンランドの風景・草花を描いたアラビアのデザインに世界中が魅了され、1900年のパリ万国博覧会ではついに金賞受賞という快挙を成し遂げます。その後、親会社から見事独立を果たしたアラビアは、以降、さまざまなデザインを世に生み出しています。
その大きな転機になったのが、デザイナー・ビルガー・カイピアイネンの参入です。彼こそがアラビアの不動の人気シリーズ「パラティッシ」の生みの親。高いデザイン性と実用性を兼ね備えた製品は、瞬く間に人気を博すことに。
こだわり続けるのは、シンプルで心地よいデザイン
アラビアの歴史を変えたもう1人の人物を紹介しましょう。フィンランドデザインの良心・カイ・フランクの参入です。イタリアのルネッサンス期の芸術作品にルーツを持つデザイナー・カイ・フランクは、第二次世界大戦終結の翌年、アラビア社のアートディレクターに就任。彼が同社のデザイナーに周知したのは、"敗戦国のフィンランドで、人々の食卓を少しでも豊かにすること”。
スタッキングができて場所を取らない、リーズナブルな価格帯のアラビアの食器は、伝説的なロングセラーになりました。
カイ・フランクの精神は今も受け継がれ、現在、フィンランドでは毎年11月に日常使用に最適な機能美を追求した製品に送られる「カイ・フランク・デザイン賞」を開催しています。優れた装飾デザインではなく、あくまで暮らしに寄り添う機能美を追求する姿勢は、まさに北欧デザインの真髄と言えますね。
はじめての1枚におすすめ「パラティッシュ」
時代を超えて愛され続けるアラビアの食器。数あるデザイン・シリーズから、最初の1枚におすすめなのが「パラティッシュ(Paratiisi)」です。ビルガー・カイピアイネンがデザインし、1969年に発表したパラティッシュはアラビアのシグネチャー的存在。カシス、ぶどう、リンゴ、パンジーなどの花や果物が大胆に描かれているのが特徴です。

フィンランド語で"楽園”を意味する「パラティッシュ」にはイエロー、ブラック、パープルの3つのカラーバリエーションがあり、わが家でよく使うのは"ブラパラ”と呼ばれる「ブラックパラティッシュ(Black Paratiisi)」。シンプルなので和洋中、どんな料理にもマッチするのがその理由。
料理が映える「スンヌンタイ」

「スンヌンタイ(Sunnunta)」とは、フィンランド語で日曜日のこと。パーティー好きだったビルガー・カイピアイネンが70年代に生み出した、なんともキュートなデザインが特徴の26cmのオーバル型。
見てるだけで元気になるポップなデザインに目が行きがちですが、フチが立ち上がったやや深いオーバルなので、カレーライスやシチュー、パスタ、サラダまで幅広い料理に適しているのがポイント。わが家では日曜日のブランチに、冷蔵庫のあまり野菜を使ってスープパスタを作るのが定番です。
白と青のコントラストが美しい「エステリ」

白と濃紺のコントラストが美しい「エステリ(Esteri)」。幾つもの花が躍動感たっぷりに咲き誇る印象的なデザインは、アラビアで長年貢献したデザイナー・エステリ・トムラによるもの。
レトロな雰囲気の花柄は親しみやすく、スイーツ、サラダ、チーズなどの他、朝の定番、トーストに目玉焼き、ベーコンの他、ガパオライス、カオマンガイなどのワンプレート料理とも相性抜群。料理の隙間からのぞく模様が食卓を華やかに演出します。
食器を変えると、暮らしがちょっと豊かになる

すべてにこだわりを持って、丁寧な暮らしを心がけることはとてもすてきなことだけれど、頑張りすぎると疲れてしまう。自分に課したルールに縛られ、毎日の暮らしが窮屈になるようでは本末転倒です。 こだわりを持つことは大切だけれど、それはほんの少しでいい。例えるならひとさじ程度でいいと思うのです。
食器を変えると、盛り付けに気をつけたり、お皿の柄に合わせた料理を作りたくなる。そんな小さな変化がやがて、"丁寧っぽい暮らし”につながるような気がします。それはもしかすると、北欧の人々が大切にする、ヒュッゲ(Hygge)な暮らしにつながるのかもしれません。
デンマーク語で「居心地が良い空間」や「楽しい時間」を意味するヒュッゲは、何も特別なことではありません。家族や友人と食事をしたり、自分の好きなインテリアに囲まれた空間で読書をしたり。散歩をしたり、モノを大切にしたり。自分が気分良く過ごせることが、ヒュッゲなのです。そこにルールはありません。

北欧・デンマークを冬に旅したとき、家の軒先で焼きマシュマロを楽しむ光景をよく見かけました。厳しい寒さを少しの工夫で楽しむ北欧の人々の暮らしには、寒さをも楽しむ余裕が感じられます。気持ちにゆとりが生まれると、家族や友人はもちろん、自分にも優しくなれるはず。

空間を演出する照明や家具など、お気に入りのインテリアに一気に変えるのは大変だけれど、食器なら手軽にヒュッゲな毎日を取り入れることができます。
アラビアからはじまる背伸びをしない、自分らしい暮らし。
ひとさじのこだわりが、やがて豊かな日々へとつながっていくことでしょう。
内部リンク・ル・クルーゼ
北欧食器のアラビアのおすすめはこちら
アラビア パラティッシ プレート 皿 21cm
アラビア スンヌンタイ プレート 皿 21cm
アラビア エステリ 皿 プレート 19cm
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