
頑固な「ケイ酸カルシウム」を落とす方法と注意点【お掃除業者さん必見の洗剤技】
なかなか落ちない頑固な水垢汚れ「ケイ酸カルシウム」の落とし方を紹介!石化したカルシウム汚れでも、研磨する前にまずは洗浄剤を試してみるのがおすすめです。ここでは清掃業の方向けに、ケイ酸カルシウムの水垢汚れを溶かす洗浄剤の選び方や、注意点も紹介。お風呂場やキッチン回りでがちがちに固まったカルシウム汚れも、周囲を傷付けないようキレイに掃除してみましょう。
ケイ酸カルシウムとは?水垢の種類や汚れの落ちやすさの違い
こんにちは! 茂木和哉です。清掃業の皆さん。見た目が同じような水垢でも、簡単に落とせるものと、非常に頑固なものとがありますよね?なぜなのか知っていますか?それは、見た目が同じ白っぽい(カルシウム系)の水垢にも種類がいろいろあり、種類によって落ちやすさがまるで違うからです。
比較的、簡単に落とせる水垢というと「炭酸カルシウム」が代表的です。炭酸カルシウムは、酸性洗剤であれば落とすことができます。ちなみに、おしっこが原因の尿石も炭酸カルシウムなので、尿石洗浄剤は酸性タイプになるわけです。
炭酸カルシウムとは見た目が同じ白色の水垢なのに、非常に頑固な水垢があります。それが「ケイ酸カルシウム」です。シリカスケールとも呼ばれています。
ケイ酸カルシウムの汚れが頑固な理由
では、なぜケイ酸カルシウムが頑固なのか?ここでは2つの理由を説明していきます。
酸性洗剤で落とせない|ケイ酸カルシウムの汚れの特徴
ケイ酸カルシウムが頑固な理由の1つは、酸性洗剤で落とせないからです。水垢は、すべて酸で分解できそうに思われがちですが、ケイ酸カルシウムは分解できません。強酸の塩酸や硝酸でもダメですし、濃硫酸でもダメです。
では何で分解できるのか?それが「フッ化水素酸」、いわゆるフッ酸です。しかしフッ酸は非常に危険度が高く、フッ酸が配合された洗剤はほとんど出回っていません。適した洗剤がないので、頑固な汚れとなるわけです。
素材と同質化しやすい|ケイ酸カルシウムの汚れの特徴
ケイ酸カルシウムが頑固なもう1つの理由は、素材と同質化しやすいからです。
浴室にあるガラスや鏡には、ケイ素というミネラルが含まれています。実は、シリカスケール(ケイ酸カルシウム)にも同じケイ素が含まれているため、シリカスケールをガラスや鏡に付着したままにしておくと、同質化してしまうのが厄介なポイント。
付着してからの時間が長ければ長いほど、結びつきは強くなり、水垢が落ちにくくなっていきます。
ケイ酸カルシウムの洗浄方法
いくら頑固なケイ酸カルシウムといっても、落とさないわけにはいきません。そこで、ここからはケイ酸カルシウムの洗浄方法を考えていきます。
研磨は最終手段|ケイ酸カルシウムの洗浄方法
まず物理的洗浄、いわゆる「研磨」です。化学的に分解できない以上は、研磨して落とす方法を選びたくなります。同質化したケイ酸カルシウムの硬度は、鏡やガラスと同じ。鏡より硬度が高いもので研磨する必要があるため、研磨で汚れを落とすとなると鏡やガラスに傷をつけてしまうリスクが非常に高くなります。
そこで必要になるのが、研磨作業の知識と経験。実は、研磨作業の経験者が傷をつけずにうまく水垢を落とせたとしても、肉眼では見えていないだけで、小傷がたくさん付いた状態になってしまうのです。
「肉眼で見えないなら問題ないよね?」と思われがちですが、それがのちに大きな問題となります。なぜなら、傷があることで水垢を呼び込みやすくなり、汚れるのが早くなるからです。
それだけではありません。傷に水垢が入り込むことで、より結びつきが強くなり、さらに落ちにくくなります。
だから私は、鏡やガラスについたケイ酸カルシウムを、すぐに研磨で洗浄することはおすすめしません。「研磨は最終手段として、まずは洗浄剤を試してみる」という流れの方が良いと考えています。
フッ化アンモニウム配合の洗浄剤を使う|ケイ酸カルシウムの洗浄方法
「じゃあ、危険なフッ酸で落とすの?」と思われた方、ご安心ください。フッ酸の仲間には「フッ化アンモニウム」というものがあり、それでもケイ酸カルシウムを分解できます。
つまりフッ化アンモニウム配合の洗浄剤を使えば、ケイ酸カルシウムを落とすことが可能です!
ただし、1つ注意があります。フッ化アンモニウムといってもフッ酸の仲間です。種類によっては、とても危険なものがあります。
そのため、洗浄剤選びは重要。必ず、危険度の低いものを選ぶようにしてください。「劇物」の表記がないものを選べば大丈夫です。
フッ化アンモニウ配合の洗浄剤の選び方
フッ化アンモニウム配合の洗浄剤の危険度を知る上で、目安となるのは「劇物扱いなのか、そうでないのか」の違い。この一点につきます。
フッ化アンモニウムの種類は以下の4つ。
・ホウフッ化アンモニウム
・酸性フッ化アンモニウム(別名:一水素二フッ化アンモニウム)
・中性フッ化アンモニウム(別名:フッ化アンモニウム)
この中で、洗剤に少しでも含まれているだけで劇物扱いになるのが以下の2つです。
・ホウフッ化アンモニウム
酸性フッ化アンモニウムは、4%未満であれば含まれていても劇物扱いにはならず、中性フッ化アンモニウムは、いくら含まれていても劇物扱いにはなりません。
危険度に順位をつけるとなると、
第1位 ホウフッ化アンモニウム
第3位 酸性フッ化アンモニウム(別名:一水素二フッ化アンモニウム)
第4位 中性フッ化アンモニウム(別名:フッ化アンモニウム)
となります。
ケイフッ化アンモニウムやホウフッ化アンモニウムが使われているものはすべてダメ。酸性フッ化アンモニウムなら4%以上はダメで、4%未満はOK。中性フッ化アンモニウムなら、いくら含まれていてもOKということになります。
私も現場に入っていた頃はそうでしたが、清掃業者さんなら少しでもキレイにして、お客様に喜ばれたいという気持ちがあります。そのため、キレイになるなら危険な洗浄剤でも使ってしまう方もいるでしょう。
しかし、健康が第一のお仕事です。あなたの代わりは誰もいません。化学薬品の健康被害は、すぐにあらわれず後々現れる場合もあるので油断は禁物です。
それと、いくら危険な洗浄剤でも、使い続けると慣れてしまい、気がゆるみ、安全対策の怠りが出てしまうかもしれません。万が一のことが起こった時にリスクを下げるためにも、使う洗浄剤は劇物でないものをお使いになることを私は強くおすすめします。
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