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更新日: 2024年12月9日

ヒール巻き交換でめくれも剥がれも修理!職人技で靴を甦らせる方法

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日々着用するにつれて、踵やヒール部分がボロボロになり、捨ててしまったことはありませんか。実は、そんなヒールを新品同様に直す「ヒール巻き交換」という修理方法があるのです。「ヒール巻き交換」とはどのような修理方法なのか、靴修理のプロに教えてもらいました。

ヒール巻き交換とは?

「ヒール巻き交換」とは傷ついたヒール部分の革を、新しい革に取り換えること。あまり知られていない修理方法かもしれません。気に入っていた靴を長持ちさせるための修理ですが、具体的にどの部分を直すのかを解説していきます。

ヒールの構造

1.ヒールブロック:靴のかかと部分についている、ヒール本体
2.ヒールの巻き革:ヒールブロックを覆っている革のこと
3.トップリフト:ヒールブロックを保護するために、先端に取り付けられるパーツ

パンプス本体は傷ついていないのに、ヒールまわりだけボロボロ…という場合、ヒール巻き交換をするだけで、まるで新しい靴のようにキレイにみせられます。大切なヒール靴を長く使い続けるためには欠かせない修理です。

修理に出すタイミングは?

どんな状態になったときにヒール巻き交換の修理に出すべきなのでしょうか。プロいわく、「ヒールの巻き革全体に傷や大きな削れが見られるようになったら」とのこと。

しかし、お気に入りの靴であれば、1カ所でも傷がついているときになってしまう!という方も多いですよね。その場合は、「1カ所だけ革がめくれたときなど、ヒールの革を全とっかえするほどの状態でない場合、靴の修理屋さんでその部分を接着してもらうだけで十分」というのがプロの考え。

ただ革がめくれた状態の場合は、「接着」で比較的安価に補修してもらいましょう。そして、全体的に傷や削れ、汚れも目立ってきたと思ったら「ヒール巻き交換」と、傷の度合いによって段階を踏んで修理に出すのがポイントです。

プロに修理をお願いすべき理由は?

しかし、接着だけ…と聞くと、自分でも簡単に直せてしまうのではないかとも思いますよね。

「100円ショップなどで販売されている、靴修理用の接着剤でめくれた革をくっつける方法があるのは確かです。しかし、大抵そういった接着剤は硬く固まってしまいがちで、次に修理しようと思った時に、うまく剥がれず面倒なことになってしまいます」(Doorさん)

ヒール巻きを靴修理屋に頼めば、厳選した接着剤を使っているため、そういった心配もありません。

「また、靴修理屋が行なっている修理では、ヒールの巻き革ごと取り換えるため、めくれた部分の革がなくても修理できるというのがポイントです」(Doorさん)

自分で補修するのと、プロへ頼むのとでは修理の根本が違うため、仕上りや修理の範囲などが大きく変わります。ヒール巻き交換にかかる費用に関しては、スエード調の素材で3,500~4,000円。木目調の素材を使う場合は、4,000~5,000円ほどが目安と考えておきましょう。

それでは、実際にプロの修理がどのように行われるのか、じっくり見ていきましょう!

今回修理に出したスエードのローヒールパンプス

どんな服装にも合わせやすそうな黒いローヒールのパンプス。一見大きな損傷はないようですが…。

近くで見ると、地面に近い部分に、細かい傷がたくさんあるのがわかります。ヒールの先端についているゴム(トップリフト)はすでに1度取り換えてありますが、ヒール巻き交換は経験なし。

ヒール巻きの修理の流れ

プロが行っているヒール巻きの流れを紹介します。基本的には3つのステップで進みます。

1. 古い巻側をパンプスから取り外す
2. 新しい巻き革をパンプスに巻き付ける
3. トップリフトを交換する

ヒール巻き交換自体は、簡単にいうと、古い革を取って新しい革を巻き付ける、という2ステップです。それに加えて、実はヒール巻き交換の修理には、トップリフト交換も含まれているのです。

トップリフト交換とは、靴修理でよく依頼されるメニューの1つで、かかとのゴムなどが擦り切れたときに新しいものに取り換える修理です。トップリフト交換の修理の相場は1,000~3000円で、取り換えるパーツの素材によって変わってきます。

ヒール巻き交換の手順

修理のおおまかな流れをおさえたところで、詳しい手順を見ていきましょう。

1. 古い巻き革をパンプスから取り外す

まずは、ヒールブロックの先端についているゴム(トップリフト)を取り外します。

「トップリフトを取り外すことで、ヒールブロックの高さにズレがないかを確かめることができるんです」(Doorさん)

「ヒールブロックの高さにズレがあったり、ゴムを取り外した部分がボコボコになったりしていた場合は、機械で削って調節していきます」(Doorさん)

今回、ヒールブロックは問題なかったため、そのまま次の作業に移りました。

中敷きを外すと、ヒールがネジと釘で固定されているのがわかります。5本の釘の真ん中に、ネジが1本刺さっています。

電気ニッパーを使って、釘とネジを取り外します。

「熱を加えて、焦がすことで、深く埋まっている釘も、すんなり取れるようになるんです」(Doorさん)

ネジと釘を1つ1つ丁寧に取りはずしていきます。そのあとは、接着剤をはがすだけ。

こちらも熱を加えて接着剤をはがしやすくします。靴本体とヒールブロックを持ち、手でベリベリと剥がしていきます。

すると、きれいにヒールブロックだけ取れました!

取り外したヒールブロックについている巻き革をはがしていきます。巻き革は接着剤でついているだけなので、手でベリベリ剥がしていくと、ヒールブロック本体が現れます。

「ヒールブロックは、基本プラスチック。他には木や、プラスチックと鉄を合わせたものがあります」(Doorさん)

生ゴムを使って、ヒールブロックの表面に残った汚れや接着剤を、削り落としていきます

「汚れたままだと、新しく革を巻いたときに、表面がボコボコになってしまいます」(Doorさん)

汚れが完全に落ちると、写真のようにきれいになります。

なぜ生ゴムを使うのかというと、粘着性があり、汚れがゴムにくっつき、取りやすいためです。消しゴムと違い、柔らかいため、湾曲している部分にもなじみます。

2. 新しい巻き革をパンプスに巻き付ける

新しい革を用意します。

「今回は靴に合わせて、黒のスエード素材の革を使いました。スエード以外に、木目調の素材などにも変更可能ですよ」(Doorさん)

ヒールブロックを合わせて、軽く型を取っていきます

「大体の大きさをトレースして、イメージしてからヒールの巻き替えに取り掛かります」(Doorさん)

筆を使って、革とヒールブロックに接着剤を塗り広げます。まずは、革の裏面に接着剤を塗っていきます。

「厚くならないように、薄く塗り広げるのがポイントです」(Doorさん)

ヒールブロックのほうにも、まんべんなく塗っていきます。

ちなみに、使うのはプロが厳選した接着剤。靴修理のプロにとって、接着剤は「秘伝のタレ」のようなもの。簡単に「接着剤」といっても市販のものとは違うようです。

塗り終えたら、接着剤が乾くのをしばらく待ちます。

トレースした部分を目安に、革を引っ張りながらヒールブロックに巻き付けていきます。

「巻きつけるときに、革とヒールブロックの間に隙間ができてしまうと、仕上がりが汚くなってしまいます。それを防ぐために、革を軽く引っ張りながら巻きつけているんです」(Doorさん)

カーブしている部分にも革がぴったりとつくように、切り込みを入れながら新しい巻き革を貼ります。チョキチョキと、細かい切れ目を入れていきます。

新しい巻き革を貼ったあと、ポンチという棒で圧着し、表面をきれいに整えます。この圧着作業も、革とヒールブロックの隙間をなくすために重要な工程なのです。

切り込みが入っていることで、カーブしている部分もぴったりと巻き付けられました。特にカーブがかかっているヒールブロックの根元部分には、大きめの切れ目が入っていることがわかります。

革の巻きつけが終わったら、接着剤をヒールブロックと靴のかかと部分につけます。そしてしばらくの間、接着剤を乾かします。

接着剤が乾いたら、ヒールブロックを元の位置に取り付け、しっかりと接着します。ズレがないように、丁寧に位置を確認しながらつけていきます。

ヒールブロックが靴にしっかり貼りついたら、今度は靴の内側から、ヒールブロックを固定していきます。固定に使うのはネジ

ネジを使うことで釘よりも強く固定することができるそうです。「元は釘が使われていたものでも、全てネジに変えて固定するようにしています」と、プロならではのこだわりを見せていました。

取り付けたネジは、上からかなづちで叩き、さらに強く固定します。ネジを固定したあとは、中敷きをはめます。

3. トップリフトを交換する

もともとついていたトップリフトの代わりに、新しいゴムに交換する作業です。

まずは、釘を付けたゴムを用意します。

新しいゴムを、かなづちでヒールブロックの先端に打ち付けます。取り付けたあとに、ゴムをハサミである程度の大きさに整えます。

機械でゴムを削り、形を整えます。最後に、ワックスがけをすれば、完成です!

傷のないきれいなヒールになりました。ヒールの巻き革を修理するだけで、本当に新品同様に見えますよね!

革を新しくするため、修理した直後は少し革の色味が違って見えます。ただ、徐々になじんでくるので、心配は無用です。

ヒール巻き交換をしてくれたプロ

新宿にお店を構えるDoorさん。店長の戸田さんの趣味を盛り込んだ店内と、アットホームな雰囲気が魅力的なお店。もともと会社員として働いていた戸田さんは、靴修理の会社に転職し、後に独立。「靴修理屋っぽくないお店」をコンセプトに、ご自身の趣味であるアートや音楽を店内に取り込んでいるそうです。

仕事場に自分が好きなものを持ってきて、自分自身が楽しみ、お客さんにも楽しんでもらう。アート作品や音楽を通じてお客さんと密にコミュニケーションを取りたい。そんな想いからお店作りをするなんて、素敵ですよね。

「靴も人と同じ生き物です、大切にすれば長くお使いいただけます。目に見えない部分こそしっかりと魂を込めて直し、手にした時に当店に頼んでよかった!と思っていただけるよう、一つ一つしっかりお直しさせていただきます」(Doorさん)

まとめ

今回は靴修理のプロへの取材を通してヒール巻き交換方法をご紹介しました。「ヒール巻き交換」はあまりなじみがないかもしれませんが、お気に入りの靴を長持ちさせるためにおすすめです。プロに任せると、部分的な修正だけではなく、見えない部分まで手入れしてもらえるのがポイント。ぜひ、お気に入りの靴はプロに任せましょう。

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※本記事の内容は、本記事作成時の編集部の調査結果に基づくものです。
※本記事に掲載する一部の画像はイメージです。
※本記事の内容の真実性・確実性・実現可能性等については、ご自身で判断してください。本記事に起因して生じた損失や損害について、編集部は一切責任を負いません。

監修者
ライター
ワタシト 編集部
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