振袖のお手入れ方法をプロが伝授!今年の成人式の後にすべきこと&来年に向けて今やっておきたいこととは?
新しい年も明け、もうすぐ成人式ですね。 成人式と言えば女性が着る振袖。
新しいものを購入したりレンタルする方もいれば、お母さんの振袖をクリーニングしてお子さんがお母さんの振袖を着られる方もいらっしゃると思います。
お母さんの振袖を受け継いてお子さんが着ることは新しく振袖を買うのに比べ安い費用で振袖を用意でき、母と子で思い出を共有できるとても素敵な機会になります。
そこで今回は、今年の新成人の方や来年成人する新成人のみなさんがお母さんの振袖を着たり、これから振袖を受け継いていきたい時どのような振袖のお手入れをするべきかどうか、クリーニングのプロにインタビューしました!
来年の成人式を迎える前にすべきこと
今回インタビューさせていただいたのは「しみ抜き工房カマダ」の鎌田 慶一さん。
クリーニングやしみ抜きの技術を駆使し、あらゆるお品をキレイに再生する鎌田さん。衣類全般から、レザー各種、毛皮、着物、ドレス、鞄、靴、ぬいぐるみなど幅広いお品の対応をしています。
鎌田さんのお店
そんな鎌田さんに振袖のお手入れについてのお話を伺いました。
— 長年箪笥に閉まったままの振袖の汚れの原因は何なのでしょうか?
振袖や着物のお困りの原因は1つ。ずばり湿気によるカビやシミの発生です。
今みなさんが住んでいらっしゃるマンションなどは気密性が高く、隙間風なども吹かないため着物に限らず昔よりカビになりやすい症状が増えています。
なので、カビの発生を防ぐために昔は年に2回陰干しろと言われていましたが、今は年4回必要です。湿度が高く隙間風が吹かない家ほど気密性が高く、湿気がこもってしまいます。
カビに対してはみなさん気楽な気持ちを持っている方も多いと思いますが、カビも菌の1種だし、最近流行しているコロナウイルスも同様に菌の1種です。
白くカビた服を手で払って見た目できれいになったと思われる方もいますが、それは目に見えるものがなくなっただけ。手はカビの胞子だらけ、さらにそれだけでは菌は死にません。そうなると気管の弱い人やお子さんにも良くないし、カビをはたいた玄関に入って間も無く喉がイガイガしてしまう方もいらっしゃいます。
だから来年お母さんの振袖で成人式に出席される方はとりあえず今出して状態を確認することが大事です。洗ってないなら速攻でクリーニングを依頼してください。クリーニング済みでカビくさい匂いがなければ、そのまま着物用ハンガーにかけて陰干しをする。半日くらい干して畳んでしまうのを3~4ヶ月に1回してください。月に1回でも大丈夫です。
振袖の畳み方はこちら↓
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カビ以外にも、湿気によって振袖や着物をハンガーにかけた時裏地が膨らむこともあります。専門用語では「袋」と呼ばれているのですが、湿気により表の生地が縮んで中が余ることで形崩れが起こります。
また、他にもずっとしまいっぱなしだと樹脂と顔料でできているカラフルな模様の柄が色移りしてしまうことがあります。本体の柄が消失しかけてしまうパターンもあるほどで、湿気は本当に厄介です。
もう一度言いますが振袖や着物のトラブルのほとんどの原因は湿気です。 これは年4回がんばって陰干しをすれば全部防げるもの。
大切な振袖にはできるだけ手間をかけてあげましょう。
今年の成人式を終えた後にすべきこと
— 振袖を着た後に気をつけたほうがいいことは何ですか?
成人式が終わったらすぐクリーニングに出すことです。
振袖の素材はシルクで、シルクが振袖という形をしている服です。それが白いブラウスだったらみなさんそのまましまいませんよね。
振袖もブラウスも素材が同じで形が違うだけです。
振袖やレザーに限らず服はきたら汚れがつきます。見た目に汚れが見えなくても、結局短時間でも汚れはつくので酸化が起こります。 しばらく着る予定がなくても絶対にクリーニングすることが大事です。
振袖のクリーニングはドライクリーニングに近いやり方で、有機溶剤を使って洗う方法です。
振袖の襟や袖の汚れは、汗やファンデーションによるもの。 ファンデーションなどはドライクリーニングで落とせますが、汗は有機溶剤で分解できません。そうなると水分によって脱色や変色がおこり、襟元だけが黄ばむようになります。
襟元の黄ばみクリーニング(参考価格:11,000円 納期1~2週間)
普通のクリーニングだけで、着用時の汚れを完全に落とせずに放っておくとそうなります。
その場合は生き洗いをするといいです。生き洗いをすると必要に応じて最適なケアを全部してくれます。なので汗による黄ばみやシミの発生を起こさないようにしたい場合は生き洗いのできるクリーニング屋さんにクリーニングを依頼すると良いですよ。
振袖クリーニングにかかる費用は1万円ほどで、生き洗いだとプラス3~5千円くらいです。
また、汗やファンデーション汚れ以外によくあるカビの原因というのは湿気なので、特にカビの生えた振袖に対してはドライクリーニングだけでは全然ダメです。強力水溶性のシミなので全体的に水溶性の処理をする必要があります。なので、そうならないためにも成人式のあとに湿気がこもらない場所に保存することは本当に大事です。
今年の成人式で特に気をつけたほうがいいこと
— 2021年の成人式は、何と言ってもウイルスの影響でマスクの着用や消毒液の使用など大きな変化がありそうですね。何か今年だからこそ気をつけたことが良い点などありますか?
はい、今年の成人式で気をつけてほしいのが消毒液が振袖にかからないようにすることです。
振袖のプリントは樹脂と顔料なので、除菌材などのエタノールがつくと樹脂が劣化して脱色してしまいます。エタノールは薬剤を浸透させたりするのにも使うため、振袖にそんなものをかけるのはとても危険なこと。
次亜塩素酸は言い方と変えるとキッチンハイター。普通に服にかけたら脱色してしまいます。
消毒液がかかってしまうことですべて脱色されてしまわけではないのですが、中には振袖にかかってしまうことで脱色が起こってしまうこともあることが事実です。もちろん振袖だけではなく、樹脂や顔料を用いた小物やバックなどもです。そのため、手を消毒した後はきちんと乾いてから振袖やバッグに触れるようにしましょう。
おわりに
いかがでしたか? 振袖のお手入れに関して、状態によって以下のような対処をすることが大切です。
今年の成人式に出席された方は…
・見た目に汚れが見えなくてもすぐにクリーニングに出す
・3~4ヶ月に1度陰干しをする
来年の成人式にお母さんの振袖を着たい方は…
・とりあえず今すぐ振袖の状態を確認する
→クリーニングをしていない場合はクリーニングをする
→クリーニング済みでカビくさい匂いがなければ、そのまま着物用ハンガーにかけて陰干しをする
今年成人式に出席された方は思い出の振袖をしっかりとお手入れして次の世代へ、来年お母さんの振袖を着られる方は、今の状況を確認して、素敵な振袖で思い出に残る成人式を迎えましょう!
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