リスキリングとは、働き方の変化に伴って、今後発生する新たな業務に役立つスキルを習得する取り組みのことです。本記事では、リスキリングについて分かりやすく解説。メリットやデメリット、リスキリングにおすすめの資格を紹介します。また、リスキリングで給付される補助金についても簡単に解説します。

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リスキリングとは？

リスキリングとは「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する／させること」（※参照：経済産業省）

簡単に説明すると、会社にまだない仕事やできる人がいない仕事に価値を持たせるために、スキルを学ぶ、あるいは学んで習得してもらう取り組みを意味します。例えば、営業担当者がデジタルマーケティングを学び、オンラインでの集客をスムーズに行えるようになるといった行動をリスキリングと呼びます。

リスキリングとリカレント教育の違い

類似した「リカレント教育」という単語もあります。リカレント教育とは、社会人になってから必要に応じて、学び直すことを意味します。リカレント教育では今の職を一度離職し、大学や専門学校などの教育機関で学び直すのが一般的です。

一方で、リスキリングは今の職業に就いたまま学び、新たな業務に役立つスキルを習得し、仕事に価値を持たせます。

大きな違いは、離職の有無です。また、リカレント教育は離職してスキルを身につけるのに対して、リスキリングは離職せずに新たなスキルを習得するといった点も異なります。

リスキリングのメリット・デメリット

リスキリングのメリットは、学んだ本人と企業側どちらにもあります。本人はキャリアアップや転職で優位になり、変化に合わせて自分の市場価値を高めることができます。企業にとっては、新たな人材を採用するよりコストを抑えられたり、新たなビジネスチャンスを生み出すことができます。

しかし、デメリットもあります。学ぶ本人は時間と労力が必要とされ、資格を取得しても必ずしもキャリアアップに繋がるとは限りません。また、企業にとっても時間や費用がかかったり、スキルを得た従業員が転職してしまう可能性もあります。

リスキリングにおすすめの資格11選

趣味から極めたい資格やスキルアップにつながるおすすめの資格を紹介。また、リスキリングでは個人でも利用できる補助金や給付金があり、今回は給付金がでるものを厳選しました。取得後にできることについても詳しく解説します。

インテリアコーディネーター資格試験

インテリアコーディネーターとは、店舗や住宅などで快適に過ごせるように、空間を整えてプロデュースする専門家のことです。

資格を取得することで、インテリア関連商品のメーカーや住宅メーカー、工務店、設計事務所、内装施工会社などといった企業への就職に有利になります。

また、顧客から信用を得やすくなるため、独立といった選択肢を増やすことも可能です。試験合格後に登録料を納めると協会認定のインテリアコーディネーターに認定され、仕事を増やすきっかけにもなります。

試験は1次試験と2次試験に合格する必要があります。

パーソナルカラリスト検定

パーソナルカラリストは、「人と色」に着目し、色彩や配色に関する知識を身につける資格です。パーソナルカラーを学ぶことで、ブルーベースやイエローベース、4シーズンがわかるようになります。

ファッションや美容、ブライダル、メイク、ネイル業界でのサービスや就職に資格が役立ちます。例えば、ネイリストの場合、お客さんの手の色に似合う色を提案したり、イメージにあった配色などを提案することで、肌をキレイに見せたり素敵なデザインを作ることができます。一人一人に合った色を提案しやすくなるため、お客さんがもつ良さをより引き立てることが可能です。

資格は3級から1級があります。指定された会場以外にもWEB（CBT会場）にてパソコンを使った検定試験も受験できます。

Illustratorクリエイター能力認定試験

「Illustratorクリエイター能力認定試験」は、グラフィックツールの「Adobe Illustrator」を使う能力を評価するための資格検定資格です。未経験からWebデザイナーを目指す人やクリエイターとして企業への就職や転職、副業を始めたいときに活用できます。

Illustratorのスキルは個人差があり、履歴書やポートフォリオでも証明しにくいため、資格を持っておくとある程度のスキルを証明できるのがメリットです。また、副業を始めるときにも資格を持っていることで、異業種での活躍のチャンスを広げられるようになります。

試験はエキスパートとスタンダードとあります。認定基準はスタンダードの場合、Illustratorの基本的な操作ができ、作業指示書に基づいたコンテンツを作成できるレベルです。エキスパートは、IllustratorのDTPやウェブデザインに関する基本的な知識を持って、ニーズに応じて適切な機能を選ぶことができるレベル。

受験方法は、主催協会が認定した全国のパソコンスクールなどで受験する方法と、リモートWebテストによる在宅受験形式から選べます。

Webクリエイター能⼒認定試験

WebクリエイターやWebデザイナーに必要な基礎的なスキルを証明する認定試験です。主に、Webサイト制作のデザインやコーティングスキルが評価されます。今後Web制作に携わる仕事に就職や転職を考えている人におすすめです。

未経験ではWeb制作に携わる機会は少なく、またスキルを履歴書などで証明するのも難しいため、資格を取得することでスキルがあることを証明できるのがメリット。また、副業をメインに取り扱う求人サイトでは、ホームページ作成やデザインなどの業務も多いため、副業を考えている人にとってもおすすめの資格です。

試験にはスタンダードとエキスパートがあります。スタンダードは実技問題、エキスパートは実技問題に加えて知識問題が出題されます。試験はリモートWebテストの在宅形式あるいは、主催者が認定する全国の認定試験会場で受験が可能です。

TOEIC

TOEICは英語のスキルを測定する認定試験です。合否ではなく英語スキルをスコアで評価されます。英語を使った仕事に就きたい人や留学などを考えている人にとっては、必須と言っていいほど重要な試験です。また、在職中でも英語を使う機会が増えてきた、英語が必要となってきた、昇進・昇給、キャリアチェンジといった場合にもTOEICのスコアは重要なものとなっています。

TOEICのブランドを理解しておこう

TOEICには「TOEIC® Tests」と「TOEIC Bridge® Tests」の2つのブランドがあります。

「TOEIC® Tests」では、初級者から上級者まで同一のテストを受験してスキルを評価します。「TOEIC Bridge® Tests」は初級者から中級者が対象のテストです。

実用英語技能検定（英検）

日常会話からビジネスシーンまで幅広い場面の英語スキルを習得できる検定です。文部科学省が後援している資格でもあり、海外留学時の語学力を証明する資格として認定されています。

中学英語初級に相当する5級から大学上級に相当する1級まであり、一度合格すれば一生履歴書にかける資格の一つ。英語を使う仕事に就きたい人や英語が必要になってくる業種の場合に必要な資格です。また、英検1級合格者は通訳案内士（通訳ガイド試験）において、1次試験が免除されます。

実際に履歴書にて評価されるのは、準2級から1級クラスです。

ハングル能力検定

初級者からビジネスシーンでも活用できる韓国語能力を測定する検定試験です。5級から1級まであり、2級からは設問が韓国語になります。

韓国に向けたビジネスを行ったり、韓国の良さを日本国内で伝えるような韓国語を用いた仕事をしたい人におすすめです。また、ハングル能力検定1級に合格すると通訳案内士の資格取得をする際に、韓国語の試験を免除してもらえます。

韓流ドラマ・映画、K-POPが好きで趣味として韓国語を学んでいる人も自分のスキルを客観的に評価できる資格なので、受験してみるのもおすすめです。

中国語検定（HSK）

中国政府が公認している中国語の検定です。中国語を使う仕事に就きたい人や中国で留学を考えている人にとっては、必須の検定でもあります。また、年々増えている中国からのお客さんをもてなしたり、顧客とする職業に就いている人にとってもHSKの受験はメリットになるでしょう。

HSKは初級レベルの1級から上級レベルの6級まであり、6級になるとスムーズに聞いたり読んだりでき、流暢に自己表現が行えるレベルになります。

ITパスポート

ITパスポートはITに関する基本的な知識を証明できる国家試験です。情報セキュリティやモラル、コンプライアンスなどの知識から経営戦略、財務、ネットワークやデータベースなどの知識が得られます。IT企業に勤めている人や転職を考えている人にとって有利な資格です。とくに、企業の情報を守るセキュリティ部署や開発部署などでは、必須資格としている場合が多く、昇進・昇給の条件としてITパスポートの資格取得を設けている大手企業も多数あります。

試験は日本全国で受けることができ、主に経営全般の問題とIT管理、IT技術に関する問題出題されます。

FP技能検定

FP（ファイナンシャルプランナー）は暮らしとお金に関する幅広い悩みに対応し、相談者の生活をよりよくするアドバイスを行います。そのアドバイスを行う上で、FP技能検定が必要です。

FPで身につけた知識は保険会社や銀行、証券会社などへの就職や転職だけでなく、自分のライフプランづくりにも役立ちます。日々の暮らしのなかで、マイホームや老後の貯蓄といった家計の管理や資産の運用につながる知識を身につけることができます。

3級から1級まであり、2級と1級は実務で使えるレベルとなっています。また、FP技能検定は国家試験であり、さらに有効期限がないため、一度合格すれば活用できる資格です。

日商簿記検定

日商簿記検定は、企業に関するお金の記録や計算、整理の技能を測る検定資格のこと。経理や財務に関する仕事に就きたい人や個人事業主として働きたい人におすすめです。初級から1級まであり、2級以上で経理や財務などの職業で評価されやすくなります。

簿記は企業内のお金の流れを学び、経理職や財務職といった事務職において昇進・昇給に必須とも言われています。また、独立起業した経営者にとっては、経理処理ができるようになったり、数字から経営判断をしやすくなるメリットがあります。

初級から2級までは全国にあるテストセンターで受験ができ、多岐選択式問題と記述問題が出ます。1級では指定された会場で紙試験を行い、4科目を筆記試験で行います。

個人で給付金がもらえる条件

リスキリングでは給付金がもらえる資格・試験があります。それぞれの条件や給付金の種類については以下で解説します。

個人でもらえる給付金【専門実践教育訓練給付金】

専門実践教育訓練給付金は企業と連携した講座が多く、実践的なスキルを身につけられる制度です。支給額は原則受講料の50％（年間上限40万円）が6ヶ月ごとに支給されます。

訓練修了後に定められた資格を取得し、修了日から1年以内に雇用保険の被保険者として雇用された場合、追加で20％支給されます。加えて、訓練修了後の賃金が受講前の賃金と比べて5％以上、上がった場合には追加で10％支給されます。そのため、最大受講費用の80％（年間上限64万円）が支給される可能性があります。

さらに、失業中に初めて専門実践教育訓練（通信と夜間を除く）講座を受講する場合、受講開始日までに45歳未満であり、ハローワークに求職申し込みを行っているなどの条件を満たせば、受講中の生活費が支給される「教育訓練支援給付金」が受給できる可能性があります。

受給条件

すべての人がすべての講座で給付金を受け取れるわけではありません。初めて給付金制度を利用する人の場合は、在職中の人と退職した人で2パターンあります。

初めて給付金をもらう場合は、在職中の人は講座開始日までに、3年以上雇用保険に加入している人が対象者です。退職した人の場合、雇用保険に3年以上加入していたうえ、離職した日の翌日から受講開始日までが1年以内の人が対象です。ただし、当面の間は雇用保険に通算2年以上加入していると給付金を受け取れます。

以前給付金を受給していた場合、在職中の人も退職した人も前回の受給日から3年以上経過していること。加えて、2014年10月1日までに受給をした人の場合、受講開始日までに雇用保険に加入して通算2年以上あり、前回の給付日から3年以上経過していること。さらに、退職している人は、離職日の翌日から1年以内であることが条件です。

受講する講座は、厚生労働大臣が指定する「専門実践教育訓練」に対応している講座が対象です。講座には保育士や介護士、看護師、自動車整備などがあります。

※参考：教育訓練給付金があなたのキャリアアップを支援します | 政府広報オンライン

個人でもらえる給付金【特定一般教育訓練給付金】

「特定一般教育訓練」は「専門実践教育訓練」よりも支給額が低く、受講費の40％（年間上限20万円）が支給されます。訓練修了後の1年以内に雇用保険に被保険者として加入した場合、受講費の10％（年間上限5万円）が追加で受給できます。

受給条件

在職中の場合で初めて受給を受ける場合には、受講開始日までに3年以上雇用保険に加入している人。退職者の場合は、離職の翌日から受講開始日までが1年以内であり、雇用保険に加入していた期間が3年以上ある人が対象です。しかし、当面の間は雇用保険に1年以上加入していれば、受給対象者になります。

過去に給付金を受け取ったことがあり、在職中の人は受講開始日までに3年以上雇用保険に加入していたことが条件です。退職している人は加えて、離職した日から1年以内であることが条件です。さらに退職者の場合、上記の条件に加えて、前回の受給日から受講日が始まる日まで3年以上経過していることも条件になります。

※参考：教育訓練給付金があなたのキャリアアップを支援します | 政府広報オンライン

個人でもらえる給付金【一般教育訓練給付金】

「一般教育訓練給付金」は雇用の安定や再就職を支援する制度です。給付金は、受講費の20％（年間上限10万円）を受け取れます。TOEICやHSKなど働いている人のスキルアップを支援した講座が多いです。

受給条件

在職中で初めて申請する場合、受講開始日までに雇用保険に3年以上加入している人が対象です。ただし、当面の間は雇用保険の加入期間が1年以上であれば対象となります。退職者の場合、離職日の翌日から受講開始日までの期間が1年以内であり、雇用保険に加入していた期間が3年以上ある人が対象です。

※参考：教育訓練給付金があなたのキャリアアップを支援します | 政府広報オンライン

リスキリングで何を学ぶ？資格を取得してキャリアアップを目指そう！

リスキリングは再就職や転職、スキルアップに役立つ知識を身につける取り組みです。個人にとっては、自分の市場価値が高まり、昇進や転職の可能性が広がります。企業にとっても、新たなビジネスチャンスが生まれたり、企業の価値を高められます。また、個人で申請できる給付金もあるため、条件を満たしていれば申請するのもおすすめです。リスキリングに取り組んで、キャリアアップを目指してみましょう。

※本記事の内容は、本記事作成時の編集部の調査結果に基づくものです。
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