
万年筆の正しいお手入れ方法は? 種類別に3通りのステップと注意点を解説
万年筆は基本的に水だけで簡単にお手入れが可能です。今回は、万年筆の種類別に3通りのお手入れ方法を紹介します。ほかにもお手入れをするタイミングや使うときの注意点も紹介しているので、最後までチェックしてみてください。
万年筆のお手入れをするタイミング
万年筆のお手入れは水洗いが基本です。まずは洗うタイミングを確認しましょう。
インクの出が悪い
インクの出が悪いときは、中でインクが固まっている可能性があります。お手入れをしてインクの固まりを取り除きましょう。また、インク残りが少ないカートリッジを使い続けると、ペン先にインクが詰まりやすくなるので注意しましょう。
インクの色を変えたい
インクの色を変えたいときにそのまま使うと色が混ざってしまうため、お手入れが必要です。
1ヶ月以上、使わずに保管しておきたい
使わない期間が長いと万年筆の内部でインクが固まってしまいます。あらかじめ使わないことがわかっている場合には、万年筆を洗うようにしましょう。
3ヶ月に1回は定期的なお手入れも大切
万年筆は3ヶ月に1回はお手入れをしましょう。定期的なメンテナンスが万年筆を長く愛用するコツです。
【種類別】万年筆のお手入れ方法
万年筆をカートリッジ式・コンバータ式・吸入式の大きく3つに分け、それぞれ洗い方を紹介します。
カートリッジ式万年筆
カートリッジ式は、万年筆にインクが入ったカートリッジを差し込んで使用するタイプです。カートリッジの種類(欧州規格とそれ以外)によって、インクの大きさは違いますが、今回は共通のお手入れ方法をご紹介します。
・水道水(もしくはぬるま湯)
・やわらかい布(もしくはティッシュ)
まず胴軸を回して外し、カートリッジも外してください。ペン先と大先だけの状態にして、その部分を洗っていきます。
コップはインクがついても良いものを使いましょう。コップに水道水を多めにため、ゆっくりと万年筆の先を浸します。ペン先から水につけていきましょう。
ペン先から大先まで水につけた状態で、一晩放置しましょう。もし、インクの色が濃く出てしまうようであれば、水を替えるようにしてください。
万年筆の本体が透明な場合には、インクの色が移ってしまう可能性があります。
一晩経ったら、蛇口の水を首からペン先まで通してインクを流します。インクが通る部分に水を通して洗すイメージです。だいたい色が出なくなるまで続けましょう。
最後にやわらかい布で、水気を拭き取ります。ティッシュでもかまいません。白い布を使うと、インクが本当に落ちたのかの確認になるためおすすめです。
インクの色を変えたいだけの場合は、一晩おく必要はありません。取り外したペン先から大先を流水でインクを流して、お手入れ完了です。
コンバーター式万年筆
コンバーター式万年筆はコンバーターを首軸に差し込み、ペン先をボトルインクに入れて吸入式と同じようにインクを補充して使います。吸入式と違って、コンバーターは万年筆本体から取り外しが可能です。
・水道水
・やわらかい布(もしくはティッシュ)
コップの半分より上のあたりまで水をためます。
コンバーターの中にインクが残らないよう、5~6回ほど水を出し入れして洗います。
ここからはカートリッジ式の万年筆と同じ手順で洗うことができます。コップの中にペン先を入れる時はゆっくり作業しましょう。ペン先に強い衝撃があると、故障の原因になってしまうため注意してください。
一晩つけたあと、蛇口から水を出してインクを流します。
POINT
水は勢いよく出さず、弱い水流で使いましょう。
やわらかい布や、ティッシュを使って水を拭き取ります。インクが残っていないか確かめながら水気を取ってください。
吸入式万年筆
吸入式の万年筆は、万年筆本体でインクを吸引して使います。洗うときも取り外しができません。
・水道水
・やわらかい布(もしくはティッシュ)
まずはコップに水をためます。
インクを吸引する要領で水を吸引したり排出したりしてインクを流していきます。コップの水を替えながら、色が出なくなるまで繰り返しましょう。
やわらかい布を使ってペン先の水気を拭き取ったら、そのまま置いて内部を乾かしましょう。洗った直後にインクを入れると中の水によって色が薄くなってしまいます。そのため、しっかり乾くまで1日ほど乾燥させておくのがおすすめです。
お手入れしたのにインクの出が悪いときは交換しよう
正しい方法でお手入れしたのにインクの出が悪いままという場合は、ペン先やペン芯の交換を行いましょう。ここからはペン先、ペン芯の交換法を紹介します。
ペン先の交換方法
万年筆は名前の通り長期間愛用できるアイテムですが、使用歴が20年、30年と長くなってくると、摩耗や変形によってペン先が傷つく場合があります。
万年筆の種類やメーカーによって多少の差はありますが、基本のペン先交換方法は同じです。正しい方法を覚えて、なめらかな書き心地を取り戻しましょう。
・古布
水洗いと同じ手順で、万年筆内に残っているインクを抜きましょう。しっかり乾燥させてから、次の手順に移ります。
テーブルにいらない布などを敷き、古いペン先を取り外しましょう。右利きの場合、左手で万年筆の銅部分を持ち、右手でペン先を反時計回りに回転させると簡単に外せます。そのまま引き抜くだけのタイプもあるため、事前に確認しておくといいです。
手順2と逆の手順で、新しいペン先をつけます。自分で上手にできない場合は、万年筆を取り扱っている専門店で交換をお願いしましょう。
ペン芯の交換方法
ペン先の心臓部分ともいえるのがペン芯です。ペン芯があることで、ペン先へスムーズにインクを送ることができる重要なパーツとなります。
水洗いをしてもペン先の交換をしても書き心地が戻らない場合は、ペン芯の交換を検討してみましょう。
・古布
ペン芯交換の場合も事前にインクを抜いておきます。
ペン先交換のときと同じくいらない布を敷いた上で、ペン先を反時計回りに回転させるかそのまま引き抜く方法で、ペン先を取り外します。
ペン先からペン芯を取り外し、新しいものに交換します。このとき、ペン芯のスリット部分を傷つけたり、折ってしまったりしないように注意しましょう。ペン芯と取り外す前にペン芯が置かれている場所を確認しておくと、戻す時にスムーズです。
ペン芯とペン先を合わせて、万年筆本体に戻します。
ペン芯、ペン先ともに非常に繊細な部分です。無理に交換しようとすると、万年筆を壊してしまう可能性があるので、少しでも難しいと感じたら、大切な万年筆を長く使うためにも、プロへお願いしましょう。
万年筆を使うときの注意点
万年筆は毎日使うことが大切。それが一番のお手入れ方法といえます。また、10分以上書かないときにはしっかりキャップを閉めるようにしてください。
ほかにも直射日光に当てないようにしましょう。万年筆はその名の通り大切に使えば、長く使える文房具です。
万年筆を正しくお手入れして長く使おう
今回は万年筆のお手入れ方法を紹介しました。万年筆は使っているうちに手になじみ、時間が経つにつれて成長していきます。万年筆をメンテナンスすることで、書きやすくなるだけでなく、見た目も良くなります。定期的なお手入れで万年筆を長く愛用しましょう!
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