スーツの洗濯、それで合ってる?お洗濯マイスターが教える正しい洗濯方法
自宅で洗濯できるスーツを買ったけど、洗濯方法がわからない。ワイシャツの洗い方ってこれで合ってる?と、不安に思いながら手探りで洗濯している人は、実は多いのではないでしょうか。
洗濯用洗剤でおなじみのライオンが、カスタムオーダーのビジネスウェアブランド「FABRIC TOKYO」のスタッフに向けて洗濯研修会を実施するという情報をキャッチし、ワタシト編集部が潜入!スーツやワイシャツの洗濯のコツをプロに聞いてきました。
目次
意外と知らない?洗濯表示の基本

今回、洗濯方法を教えるのは、ライオン株式会社のお洗濯マイスター・片木徹也さん。スーツ関連アイテムの洗濯方法を、実演をまじえて解説します。
「今日これだけでも覚えて帰ってほしい」と片木さんが話すのは、基本の洗濯表示。家庭で洗えるのか、洗濯機が使えるのか、手洗いができるのかを確認します。

次に洗剤を選びます。標準コースで洗えるものは一般衣料用洗剤、弱水流コースや手洗いの場合は、おしゃれ着用洗剤を使います。
「おしゃれ着用洗剤=中性洗剤と思っている方もいるかもしれませんが、実は違うんです。正確には、洗剤の用途欄にウールやシルクを含む中性洗剤と記載されているものが該当します」(片木さん)
洗剤を入れすぎてるかも!前処理の正しい洗剤の量

続いて、襟や袖の汚れが気になる場合は前処理をします。洗剤のキャップで直接衣類に塗布し、キャップの裏でトントンと押さえればOKとのこと。
意外だったのが、洗剤の量です。「例えば、前処理に使った洗剤の量が、規定の量の半分だった場合は、残り半分を洗濯槽に入れてください。前処理の洗剤に追加して、規定量の洗剤を入れると、過剰になってしまいます」とアドバイスがありました。
また、放置時間は1、2分程度で問題ないそう。洗濯準備の最初に塗布しておけば、他の衣類を準備している間に1、2分経つので、その後すぐ洗うとのこと。
洗濯ネットの使い方
スーツの洗濯に洗濯機を使用する場合は、洗濯ネットに入れます。スーツは、ボタンを外し、2つ折りに。スラックスは、チャックやボタンを留め、二つ折りか三つ折りにしてネットに入れます。
洗濯ネットを使うときのポイントとして、片木さんが紹介したのは3つです。
1つ目は、洗濯ネット1枚につき衣類1枚を入れること。大きい洗濯物のネットに複数の衣類を入れると、洗濯中にネットの中で偏ってしまい、型崩れやシワの原因になります。
2つ目は、洗濯ネットの大きさを衣類に合わせること。衣類をたたんだときに、ピッタリと入るサイズを選びます。ワイシャツであれば、下の画像の真ん中(Mサイズ)がちょうどいい大きさ。右のように大きすぎると、洗濯中に片側に寄ってしまいます。左のようにコンパクトすぎると、衣類の重なりが増え、機械力が十分に加わらないので汚れ落ちが悪くなるとのこと。

3つ目は、たたんで入れること。シワの軽減になり、アイロンがけの手間が少なくなるそうです。さらに、たたんで入れた方が、機械力が均等に加わることで洗浄力が高いのだとか。
さらに、洗濯槽に入れる順番についても、「先にジャケットを入れて、その上にスラックスを入れます。逆にすると、ジャケットの方が重い場合が多いので、スラックスに重みがかかり、シワになりやすくなります」と説明がありました。
手洗い洗濯は、四角くたたんで押し洗い
手洗い洗濯をする場合のポイントは、ニットを使った実演がありました。
まず、袖口・首元が見えるように、四角くたたみます。こうすることで、洗濯中に扱いやすく、汚れやすい袖口や首の汚れ落ちを確認しながら洗うことができます。

洗剤を入れた水に衣類をつけ、1つの角に対し、手をハの字で押し当て、手のひら全体で下方向に軽く押し、つまむように上方向に持ち上げます。この操作を10回ほど繰り返したら、他の3つの角も同様に洗って完了です。

洗い終わったら、手前からくるっと丸め、軽く押して水を切ります。そして、きれいな水に取り替え、洗いの工程と同様に、すべての角を10回ずつ押し洗いします。
「すすぎ1回推奨の洗剤の場合も、手洗いの場合は、必ず2回以上すすいでください※。どうしても水の量が少ないので、1回だと不十分になってしまいます」(片木さん)
すすぎが終わったら、脱水します。めんどうな場合は、タオルの上に衣類を広げ、上からタオルで軽く叩くだけでもよいとのこと。洗濯機で脱水する場合は、30秒~1分ほどの短い時間で脱水します。
※洗濯機で洗う場合はすすぎ1回で問題ありません。

すすぎ1回の洗剤を選ぶ
洗濯機を使用する場合、すすぎ回数は洗剤によって変わります。
「すすぎ工程には、洗い工程で衣類に残ってしまった洗剤や汚れを落とす役割があります。一方で、水流や衣類同士の摩擦によって、衣類ダメージが大きくなってしまう場合もあります」と、片木さんはすすぎ1回が可能な洗剤を使うことをおすすめしていました。

ライオンは、節水や衣類のロングライフ化を目指し、すすぎ1回の洗濯を啓発するChoose one Projectに取り組んでいます。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
内部リンク:「すすぎ1回」でお風呂2ヶ月分の節水!ライオンに聞くオトクでエコな洗濯のコツ
アイテム別・干し方のポイント
洗濯が終わったら、シワにならないよう、すぐに干します。今回の研修会では、スーツ関連アイテムの干し方をそれぞれの解説もありました。
ジャケットは、肩の部分が崩れないよう、厚みのあるハンガーを使います。針金ハンガーなどを使う場合には、タオルを巻きつけて厚みをつくる裏ワザも。
さらに余裕があれば、丸めたタオルを袖に入れます。こうすることで、タオルの重みで袖が伸び、きれいに乾かせるそうです。


スラックスは、できるだけ着用時と同じ状態で干します。下の写真のように、ウエスト部分が広がるように洗濯バサミで留めるのが理想的。ジャケット同様、丸めたタオルを裾に入れると、さらにきれいに干すことができます。

ワイシャツは、振りさばいた後、ハンガーにかけて、縦・横・斜めに軽く引っ張ってシワを伸ばします。
そして、片木さんが紹介した干し方は2パターン。早く乾かしたい場合は、写真の右のように、ボタンを外し、襟を立てます。型崩れを防ぎたいときは、左のようにボタンを留め、衿を折って干します。

「今回ご紹介した方法はあくまで理想です。すべてをやろうとすると負担になるので、やれることから取り組んでみてください」と片木さんは話します。手間と相談しながら、大事な衣類を洗うときはぜひ実践したいですね。
正しい洗濯方法を学んだFABRIC TOKYOのみなさん。「これからは洗濯方法についてしっかり案内ができる」「正しく洗って長く使えたらサステナブルですよね、と一言添えたい」と、今後の接客に生かしていきたいと意気込んでいました。

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スーツはクリーニングに出すものと思っていましたが、洗濯方法を覚えてしまえば、案外簡単!FABRIC TOKYOでも自宅で洗えるオーダースーツやセットアップを取り扱っているそうです。春からの新生活、洗えるスーツを試してみてはいかがでしょうか。
※本記事の内容は、本記事作成時の編集部の調査結果に基づくものです。
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