リペアは500円から。RE.UNIQLOで叶える服を捨てない暮らし
穴が空いてしまった、サイズが合わなくなった、服の趣味が変わった……。
着なくなってしまったユニクロの製品は、ユニクロの店舗へ持っていくといいことがあるかもしれません。
ユニクロは循環型社会を目指す取り組み「RE.UNIQLO」を2020年からスタート。全商品をリユース、リサイクルする様々な活動をおこなっています。
RE.UNIQLOはなぜ始まり、どんなサービスを展開しているのか。ファーストリテイリング サステナビリティ部グローバル環境マネジメントチームの花田彩さんにお話を伺いました。
サーキュラーエコノミーの実現を目指すワタシト編集部が、共鳴した取り組みやプロダクトを訪ねていくシリーズの第一弾です。
ファーストリテイリング サステナビリティ部グローバル環境マネジメントチームの花田彩さん
目次
今のニーズを満たしながら、サステナブルな未来を
── RE.UNIQLOはどのように始まったのでしょうか?
ユニクロは、循環型社会を本気で実現するためにはどうしたらいいのかをずっと考えてきました。例えば、服の回収は、もう20年以上続けており、現在までに5000万点以上の衣料をUNHCRを通じて難民キャンプなどに寄贈してきました。
そういった取り組みの中で、お客様と一緒に課題を解決していく方法を提案したいという思いからRE.UNIQLOが始まりました。お客様のニーズを満たしながら、サステナブルな未来を作るビジネスモデルをいかに構築するか。難しい課題ですが、今は様々なチャレンジをし、何が正しいかを検証しているところです。
一人の社員から始まったお手頃リペアサービス
ニットのリペアの例
── 500円からできるリペア・リメイクのサービス「RE.UNIQLO STUDIO」もそのチャレンジの一つですね。
循環型社会を実現するには段階があります。まずは、服を1年でも2年でも長く着てもらうこと。そして着なくなった服を回収し、二次利用することが大事です。
服を長く着るためのご提案をする場が、RE.UNIQLO STUDIOです。最初は、ドイツの一人のスタッフから始まりました。彼女はリメイクやリペアをやっているNGOでボランティアをやっていたんです。それをユニクロの店舗でやってみたらどうかと提案し、ワークショップを開いたところ、非常に好評だったのが始まりです。
それを見たイギリスやアメリカのスタッフが、有料のサービスとして自国の店舗で開始し、グローバルに広がっていきました。
刺繍によるリメイクの例
── 利用者の反応はいかがですか?
こんなに喜んでくださるんだと思いました。本当に多様なお客様が色々な服を持ち込まれます。去年買った商品もあれば、懐かしい商品まで。幅広い需要があるんですよね。福岡の店舗では、あるお客様が毎週のように来店すると聞きました。文字の刺繍入れがすごく楽しくて、どこにどんなデザインを入れるかスタッフと相談しながらオーダーいただいているそうです。
驚いたのは、多くのお客様が洋服を捨てずに取っていただいてることです。当初は、小さい虫食いなどのちょっとしたリペアを想定していました。でも、実際に持ってこられたのは、もっと大きい穴。しかも1つじゃなくて、3つ空いている。捨てるのが忍びなくて取っておく方も多いそうなんですね。
そういった方がたくさんご利用してくださり、RE.UNIQLO STUDIOは2023年11月末までに18の国と地域で40店舗、日本で10店舗までに拡大しました。
── グローバルで人気なんですね。
ヨーロッパやアジアで広く展開していますが、地域に関係なくとても好評です。
各国を回っていると、「日本のもったいないという考え方っていいよね」と言われるんですよ。最近のサステナビリティへの意識の高まりも影響しているかもしれませんが、日本の昔ながらのもったいない精神はグローバルでも共感を得るものなんだと思います。
500円クーポン配布中。ユニクロのダウンありませんか?
── リペアサービスだけでなく、ダウンの回収にもずっと取り組んでいますね。
2022年4月時点で100万着以上のダウンを集めています。
リサイクルダウンの商品開発は、お客様のご協力がないと成り立たないので、現在も店舗に持ってきてくださったら、500円のデジタルクーポンを差し上げるキャンペーンをやっています。(ダウンリサイクルの詳細はこちら ※配布期間は2024年1月31日まで。利用期間は2024年2月29日まで)
機能性の高いダウン商品には例年一定の需要があります。そのニーズを満たしながら、循環型社会を実現することを考えると、なるべく新しい資源を使わずに、今ある資源をどう活用するかが課題になります。そこで、不要になったダウンの回収を進めているんです。
もちろん、商品を生活の中でできるだけ長く着ていただくのが一番いいと思いますが、それが難しそうな商品は、ぜひユニクロに持ってきていただければと思います。
タイムレスなデザインだからこそ、長く着られる
ユニクロ古着プロジェクトの活動第一弾。2023年10月にアオイヤマダさんをビジュアルに起用し、ユニクロ原宿店の隣接スペースにてポップアップストアを展開した
── 今年10月には「古着プロジェクト」として、原宿でポップアップストアを展開されました。
RE.UNIQLOの次の可能性を探るための新たなプロジェクトです。回収した商品でまだ着られる状態のものは基本的に寄贈していますが、新しい試みとして、付加価値を加えて、古着として売ってみようということで始まりました。
販売した古着は2種類あります。1つは洗濯をしてそのまま手ごろな価格で販売するもの。もう1つは洗濯後に染め直して、違う服として売るものでした。
── どんな反響がありましたか?
想定以上にものすごい反響をいただきました。
アンケートで購入した理由を聞いたところ、「古着はおしゃれだから」という声が多かったんです。染め直したものだけでなく、ただ洗っただけのスウェットやシャツもおしゃれだと言ってもらえたんですね。これは、ユニクロのLifeWearのコンセプトでもあるタイムレスなデザインを評価していただけたということだと思い、すごく嬉しかったです。
素晴らしいなと思ったのは、何のために古着プロジェクトをやっているのかを、お客様がよく理解してくださっていることです。ポップアップストアでは、循環型社会の取り組みの一環で実施していることを強調せず、「古着って楽しいよね」というコンセプトを打ち出していました。それにも関わらず、「サステナブルな取り組みはすごくいいよね」「物を大切に長く着るのはいいよね」と言ってくださる方が結構いらっしゃったんです。
サステナビリティに対して意識が高い方はたくさんいらっしゃって、そうしたニーズに合わせたサービスを提供すると、しっかり反応があることを実感しました。
── 今後のRE.UNIQLOの展開は?
まだまだ議論中ですが、リペアのサービスなどをベーシックなサービスとして全てのお客様に提供できる状態を作りたいですね。
それから、服から服のリサイクルの推進もしていきます。現在はダウンだけですが、コットンやウールなどもリサイクルして活用していけるか検証を進めています。
◇◇◇
リユースやリサイクル、リペアは、大事だとわかっていながら、なかなか面倒なもの。「RE.UNIQLO」はそれらを身近にしてくれます。
上手に活用して、一着一着をもっと大切に着てみませんか?
ユニクロダウンリサイクル【配布期限は2024年1月31日まで】
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