
暮らしに日本の“手仕事”を。スキレットなら取り入れやすい、南部鉄器の魅力
岩手県盛岡市や奥州市でつくられてきた鉄鋳物「南部鉄器」。サビが出にくく、丈夫なため手入れをすればまさに「一生モノ」として使える暮らしの道具です。南部鉄器といえば鉄瓶が有名ですが、家庭で使うには扱いが少し難しいというのが正直なところ。そこでおすすめなのが、「スキレット」です。東北地方の手仕事・南部鉄器の魅力とともに、スキレットのお手入れ方法、レシピを紹介します。
目次
世界に誇る日本の手仕事「南部鉄器」

岩手県の盛岡市と奥州市でつくられている「南部鉄器」は、江戸時代、大名たちの間で流行していた茶の湯の道具として生まれました。堅牢な鉄を用いてつくられる南部鉄器は、鉄でありながら金気がほとんどなく、沸かしたお湯でお茶を淹れるとまろやかな味わいになるのが特徴。サビが出にくく丈夫なため、手入れをすれば「一生モノ」として使うことができます。
熟練の職人の手でつくられる南部鉄器は、日本が誇る手仕事のひとつ。最近では岩手県奥州市出身のメジャーリーガー・大谷翔平選手が自身のInstagramで紹介したことで一躍有名に。近年はヨーロッパを中心に海外でも人気を集めており、黒々とした鉄らしい風合いのものをはじめ、赤や青などカラフルなものも開発されています。
はじめての南部鉄器におすすめ「スキレット」

南部鉄瓶には職人それぞれの技術、アイディアが込められているため、昔からの工法で職人が手づくりしたものとなると、サイズや種類にもよりますが3万円~5万円とかなり高額。中には数十万円で販売されているものも。なかなか手が出せないというのが正直なところですが、小型のフライパン、スキレットなら手軽に購入することができます。
私が購入したのは、盛岡市で400年以上続く盛岡南部鉄器の名店「釜定」のスキレットです。5,000円ほどとリーズナブルでありながら、南部鉄器の風合いや特徴が活かされています。
鋳鉄製のスキレットは直火だけでなく、オーブンや魚焼きグリルなどでも使用できるため、アウトドアシーンはもちろん、家庭のキッチンでも扱いやすいのがポイント。わが家では朝、目玉焼きを焼いてそのまま食卓に出すのが定番になっています。
南部鉄器スキレットのお手入れ方法

鋳鉄製の南部鉄器のスキレットは、鉄であるがゆえに、サビが心配という方も多いことでしょう。私も鉄製の調理器具は、テフロン加工に比べて手入れが面倒なことを理由に、なかなか手が出せないでいました。
南部鉄器をはじめ、鉄製の鍋やフライパンは、確かに水分がついたまま放置したり、塩けや酸味の強い料理を作ってそのまま放置したりすればサビます。でも、使用後によく洗って乾燥させれば、そんなに心配することはありません。使い始めのシーズニングと、私が普段行っている、南部鉄器スキレットのお手入れ方法の手順を紹介します。
使い始める前に
シーズニングをすることでスキレットの表面に油の膜を作り、焦付きやサビを防ぎます。
普段のお手入れ方法
南部鉄器のような鋳鉄製の道具は、頻繁に使うことが長く使うポイントです。テフロン加工の鍋やフライパンとは違って、少し手間はかかりますが毎日使うことで風合いが生まれ、一生モノの道具になりますよ。
南部鉄器のスキレットで作るおすすめレシピ
厚みがある南部鉄器のスキレットは、ステンレス製やアルミ製の一般的なフライパンよりも熱伝導や蓄熱性に優れているため、熱がゆっくりと均一に食材へ伝わることでふっくらとおいしい料理が作れます。もちろん、南部鉄器に限らず、鋳鉄製のスキレットでもおいしく調理できますよ。おすすめのレシピを3つ、紹介しましょう。
エリンギのアヒージョ

簡単でおしゃれなアヒージョ。このレシピではシンプルにエリンギだけを使いますが、お好みでベーコンを加えるとコクのある味わいに。バゲットを添えて召し上がれ。
・エリンギ 1パック
・ニンニク 1片
・アンチョビのフィレ 1枚
・パセリ 適宜
・鷹の爪 1本
・オリーブオイル 150cc
・バゲット 適宜
オープンオムレツ

日曜日のブランチにおすすめの一品。卵にオリーブオイルを加えて混ぜると、ふわっと仕上がります。鋳鉄製のスキレットはオーブンにそのまま投入できるので、ほったらかしにできるのもポイント。
・卵 2個
・ほうれん草 1/4束
・ベーコ ン1枚
・ミニトマト 4個
・オリーブオイル 小さじ1
・牛乳 100ml
・顆粒コンソメ 小さじ1/2
・塩・こしょう 少々
・ピザ用チーズ適量
・パセリ 適宜
ふわふわフレンチトースト

ブランチにおすすめのスキレット料理をもう一品。ふわふわのフレンチトーストはいかが?ポイントは一晩かけて卵液にパンを浸し、オーブンで2度焼きすること。ホテルメイドような、ふわふわ食感が楽しめますよ。
・食パン(4枚切り) 2枚
・卵 2個
・牛乳 200cc
毎日使うことで、伝統は受け継がれる

南部鉄器のような伝統工芸品の多くは、かつて、暮らしの道具として使われてきました。利便性を追求し、時代の流れとともに姿を変えた暮らしの道具ですが、昔の人の知恵や工夫が込めらていた道具には、育てる楽しさがあります。
それは伝統を引き継ぐこと。昔のままの形を保存するだけではなく、毎日使うことで、受け継がれていくものだと思うのです。その尊さを、私は南部鉄器のスキレットや、母からもらった南部鉄器の鉄瓶で教えてもらったような気がします。
長く、良いものを使い続けることは、もしかすると自己満足でしかないのかもしれません。でも、使い続けることで伝統を守れるのであれば、とても素敵なことだと思いませんか?
暮らしにあった"一生モノ”を、あなたの手でぜひ、見つけてください。使い続けることで心がほっこり、豊かになることでしょう。
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