コメダの人気商品に隠された「もったいない精神」。くつろぎを生み出すサステナビリティとは?
名古屋で創業し、いまや全国に店舗を拡大するコメダ珈琲店。あたたかな雰囲気の店内、美味しいコーヒーと軽食、そしてオリジナルグッズも魅力です。そんなコメダのさまざまな商品には、創業時からの「もったいない精神」が宿っているそう。コメダのサステナブルな工夫について、株式会社コメダの小野真菜さんに伺いました。
目次
コーヒーかすは98%を再利用
━━ 着ていらっしゃるのはコメダのパーカーですね!
はい。コーヒー抽出後のコーヒーかすを使って染めたオリジナルグッズ「オーガニックコットンパーカー」です。公式オンラインショップで販売しており、他にも、リュックやサコッシュなどがありますよ。
コメダは、コーヒーかすの98%を再利用しています。こうしたグッズから「コーヒーかすはリサイクルできるんだ」とお客様に知っていただけると嬉しいです。
━━ 98%も再利用されているんですね。他にはどんなものに使われているんですか?
主に牛の敷料です。つまり、寝床ですね。敷料にした後は、堆肥としてさらに再利用されます。一部を廃棄しているのは、工場の場所によっては、コーヒーかすを運搬する方がエネルギーが必要になるためです。今後は100%再利用を目指し、新たな循環を生み出したいです。
━━ なぜ、コーヒーかすの再利用を始めたのでしょうか?
ゴミを取り巻く課題は多いですよね。焼却にもエネルギーを使いますし、埋立地不足の問題もあります。廃棄物を適正に処理するのは悪いことではないですが、なるべく削減したいと思い、再利用に取り組んでいます。
珈琲のお線香まで!新商品もサステナブル
━━ グッズをはじめ、話題になるサステナブルな取り組みが多いですよね。
さまざまな部署で、社員みんながちょっとずつ考えて、実行してくれています。
公式オンラインショップでは今年は、コーヒーかすを練り込んだお線香も発売しました。お家でもコーヒーの香りを楽しむことができます。
店舗のメニュー開発を担う部署も、新メニューにサステナブルな要素を加えることを念頭に置いてくれています。最近だと「もったいないバナナジャム」ですね。Doleさまの「もったいないバナナプロジェクト」とのコラボ商品です。まだ食べられるけど廃棄されてしまうバナナを使っています。
ドリンクを注文するとサービスで提供している豆菓子のパッケージも、実は小さくなっているんです。プラスチック削減の取組の一つです。
木製のテーブル、赤いソファも、ステナイ工夫
━━ 店内でも、色々な取り組みをされているんですよね?
「ステナイお店」を掲げ、モノを無駄にしないように工夫をしています。例えば、赤いソファーは、へたっても捨てずに、クッションを入れ替え、生地を張り替えます。店内で使用するカップは、なるべく長く使えるように丈夫な有田焼きです。
木製のテーブルは、傷や汚れがついても、削って、磨くことで、また綺麗になります。長く使うと、木の色がどんどん深くなり、お店の雰囲気作りにも生きてくるんです。
━━ あたたかい雰囲気は、木が多いからなんですね。
木視率が高いとくつろぎを感じやすいというデータがあります。コメダは「くつろぎ」を大切にしているので、お客様が木を見る割合が多くなるようにしています。
さらに、三重県の森を借り受け「コメダの森」として保全活動も行っています。月に1回、社員やフランチャイズのオーナー、お店のスタッフが森に入って、間伐をしたり、植樹をしたりして森の整備を行っています。本店の壁の一部には、社員がコメダの森から運び出した丸太を使用しているんです。また、コメダファンが集まる「コメダ部」の方々をコメダの森にお招きし、イベントを実施することもあります。
創業からのもったいない精神で、食材も残さない
── コメダが以前からサステナビリティに力を入れているのはなぜでしょうか?
創業当時から、もったいない精神がコメダに根づいてるんです。もちろん、時代に合わせて変化はしています。ただ、モノを長く使い、食材を残さないようにするなど、大事にしていることは変わらないですね。
例えば、モーニングのゆで玉子は、朝に茹でます。モーニングで使いきれなかった分は、お店で手作りたまごペーストにして、サンドイッチなどに使用しています。モーニングの玉子はいつもフレッシュだけど、廃棄せずに最後まで食べ切ることができています。
野菜も同様です。トマトを輪切りにすると、両端が余りますよね。その部分は刻んで、たっぷりたまごのピザトーストに入れる。きゅうりは見栄えのいいところはサラダに使って、他はサンドイッチに挟んじゃう。
ちなみに、サンドイッチは耳付きにして、残さないようにしています。山食パンは、耳まで美味しく食べられるよう、柔らかく作られているんですよ。
── 無駄にされていないと思うと、利用する私たちも嬉しい気持ちになります
お客様のくつろぎにとっても、サステナビリティは大事だと思っています。
コメダ部のメンバーとは、サステナブルな活動をすることもあります。先日は、ソファーの布地の端材を、カップ型のワッペンにするワークショップをしました。最後には社長も来て大盛り上がりでした!
お客様にとって楽しいことが、実は環境に優しいという取り組みを目指していきたいです。
── とはいえ、サステナビリティを追求する上で、難しいことはありませんか?
やはりコスト面は難しい場合もあります。
私たちの合言葉「KOMEDA COMES TRUE. with YOU」には、コメダがみなさんの夢を一緒に叶えていきたいという思いを込めています。「with YOU」つまり「みんなで一緒に」が大事なんですね。
そのため、サステナビリティ活動を推進することでコストが上がらないように、お客様やフランチャイズのオーナー様、従業員に配慮しています。コメダが決めてやるのは簡単でも、実際に実行するのはコメダに関わるみなさんで、自分たちだけじゃない。そこは難しさでもあり、コメダの良さでもあるかなと思います。
コーヒーをいつまでも美味しく飲めるように
━━ コーヒーのサステナビリティに関しては「2050年問題」が不安です。気候変動により、アラビカ種の栽培地が減少すると言われていますね。
アラビカ種が栽培できなくなると、私たちにも影響が出てくると考えています。私たちにできることは限られていますが、やれることはしていこうと思っています。
例えば、2021年には「くつろぎの持続化投票」キャンペーンを行いました。お客様にコーヒーを持続可能にするための支援を3択から選んでいただく取り組みです。その結果、最も票が多かった「ブラジルの女性農家さんの支援」を実施しました。
コーヒー生産地では男女格差が大きく、女性が重要な仕事を任せてもらえなかったり、男性と同等の給料がもらえなかったりする現状があります。
そこで、女性が生き生きと農園経営ができるよう、農園の管理方法、品質管理などを学んでいただきました。コメダ珈琲店で提供しているアイスコーヒー「Sophia(ソフィア)」は、その女性農園主の方たちが生産したコーヒー豆を使っています。以前から豆を仕入れることで間接的に支援してきたのですが、このキャンペーンで直接的な支援ができました。
持続可能なコーヒーの栽培には、やはり作り手の確保も大切です。コメダでは、農家さんと公平に取引し、農園の環境を整えてくれる取引先を選んでいます。今後も生産地域の支援はしていきたいですね。
━━ 私たち生活者ができることはあるでしょうか?
コーヒーを飲む時に、その背景を少し想っていただけるといいのかもしれません。コーヒーが児童労働や強制労働でできたものだと、お客様もくつろげないと思いますから。一方で、環境に配慮されているものだと思うと、コーヒーがより美味しくなります。
コメダの取り組みは触れられるものが多いです。机や椅子、カップもそうです。それらに触れながら、1つずつストーリーを少し考えていただけたら嬉しいです。
◇◇◇
これまで目にしてきたコメダの商品や店内には、実はたくさんの環境に配慮した工夫が隠されていました。サステナブルなオリジナルグッズも、つい欲しくなるような可愛い商品ばかりです。
コメダを訪れた際は、サステナビリティに想いを馳せてみてはいかがでしょうか。
▶︎コメダのサステナビリティ
▶︎コメダ珈琲店 公式オンラインショップ
ワタシトJOURNAL
ワタシト編集部が共鳴した、サーキュラーエコノミーの実現を目指す取り組みやプロダクトを訪ねていくシリーズ。アーカイブはこちらからご覧いただけます。
※本記事の内容は、本記事作成時の編集部の調査結果に基づくものです。